ウェストマール醸造所 (修道院内)

醸造所 Abdij der Trappisten van Westmalle
所在地 Antwerpsesteenweg 496, 2390 Westmalle, Belgium
https://www.trappistwestmalle.be/ja

シトー派修道会(Cistercian Order)に属して聖心ノートルダム修道院(Onze-Lieve-Vrouw van het Heilig Hart)と呼ばれていたウェストマール修道院は12世紀に建立されました。17世紀に同会の改革がラ・トラップ修道院(在ノルマンディー、フランス)から広がって行き、1794年に「Cistercians of Strict Observance」に属しながらも一般的にはウエストマール・トラピスト派修道院と称されたウェストマール(Westmalle)修道院が設立されました。

オラ・エット・ラボラ(Ora et Labora、「祈りと労働」)というモットーはトラピスト派修道士への普段の単なる督励というものではありません。労働はその修道生活律の重要な構成要素であり、従って修道院周辺地域や仲間の人々への奉仕や、特に訪問客をもてなす際や慈善活動を通じての奉仕といったものもあります。修道院の規則によると、修道僧はまた自分自身の生計についても責任を持たねばなりません。これまでの長い間、トラピスト派修道士は生計を立ててゆくために伝統的な工芸品作りや実業活動に携わってきました。ウェストマール醸造所には、農場やチーズ製造所、そして最もよく知られていることは疑うべくもない醸造所があります。

1836年4月22日にこの僧院はトラピスト派修道院となりましたが同じ年にマルティナス・ドム(Martinus Dom)修道院長が小さな醸造所の建設を始めました。同年12月10日の昼食の際、修道僧達に最初のトラピスト・ビールが振舞われました。

長年にわたって修道院は自家用のみにビールを醸造してきましたが、1856年からは時おり修道院の門のところで少量のビールを売ることにしました。年々需要が増えて、1865年と1897年後半には醸造所の拡張をするまでに至りました。

1921年、修道僧達は自分達のビールを商業用に販売することを決め、それによって販売がさらに増えていったのでした。1930年代の初め、新しい醸造所、発酵室、作業場といったものができて使用されるようになりました。現在の醸造所のいくつかの建物は、その当時のものです。瓶詰めラインが1956年に近代化され、法的に必須設備となるずっと以前の1968年に修道院は自前の水処理場を備えました。新たな瓶詰めラインが2000年から使用されており、新しい熟成室は2006年に出来あがりました。そこでは完全な状態でビールの発酵が行われています。

<トラピスト・ビール>

現在、正真正銘の「トラピスト・ビール」は世界で12ヵ所。そのうち、ベルギーには6ヵ所あります。これらのトラピスト会の厳格な規則に従っている修道院で作られる製品だけが「トラピスト」の看板を掲げることができ、共通の「トラピスト」マークが付けられています。

トラピスト・ビールの特徴は、

1. 修道院敷地内で醸造されている

2. ビール醸造についての権限は修道士達にある。

(ただし、従業員は修道士ばかりとは限らない)

3. ビール販売に於ける収益は修道院の運営管理に使われ、余剰利益は地域社会の慈善事業等に使われる。毎年様々な慈善事業からの申し出がある。